中国的な世界の見方がちょっとわかる(気がする)『中国はなぜ無茶をするのか』(サーチナ)

タイトル通り、どうして中国は最近、無茶をするのかというのは、疑問に思っていました。中国の無茶に対して、我々は結構素朴な反応をしてしまいがちですが、中国側の視点も交えて書いたものが無いかなと思い探していて、見つけましたこの本。習近平氏の総書記就任直前なので、最新ではないのですが、「中国外交の基本的メンタリティ」と「現在の状況に至った経過」を凄くわかり易く解説してくれました。ついさっきも、中国の戦闘機が米軍哨戒機に異常接近したというニュースがありましたが、この本を読んだ後だと、この事件がどういう位置づけになるのかがなんだかわかった気がして気持ち良い。もちろん下記が全てでは無いんでしょうが、問題を考えるうえでの軸になるのは確かだと思います。



中国外交の意思決定の背後にある要因は4つ。

1.上層部は一枚岩ではない(特に「共産党」と「軍」のせめぎあい)



共産党の一党独裁ですが、共産党は人民解放軍をコントロールし切れていない節があります。中国軍が動くとき、それが中国政府として動いているのか、軍が独断で動いているのかを注意して見る必要があります。

2.弱腰を恐れる



一旦宣言したことは、取り消せません。メンツを非常に大事にします。「尖閣諸島は俺らのもんだ!」と一旦言ってしまうと、(例えそれがマズい一手だったとしても)やっぱり違いましたと言えない圧力がかかります。


3.ネット世論も無視できない


政治形態が民主主義では無いため、世論をうまく吸い上げる機能がありません。よって政策が結構おそるおそるな場面もあります。また基本的に愛国主義で、2に見るように弱腰を許さない世論に対し、不満を逸らしつつ外交問題をこじらせないよう、難しいバランスを取る必要があります。


4.中国的ロジックと国際法・国際慣習とのジレンマ


中国は「法」を「たまたまある状況下で制定された一時的なもので、状況が変われば変更可能」と考えますが、これが国際法・国際慣習の考え方と相容れない部分が多々出てきます。世界での影響力が大きくなればなるほど、摩擦が大きくなる中、なんとかバランスを取ろうとします。


とにかく、色んな力関係・思考のバランスをとらなきゃならないという事はわかりました。ややこしいなぁ・・


そして、最近の中国の動きにつながる、ここ数年の伏線は


a.鄧小平が次期と次々期のリーダー両方を指名


次期リーダーを江沢民、その次を胡錦濤と決めちゃいました。


b.江沢民の愛国教育(≒ 反日教育)と、政権内の権力工作


江沢民時代は、天安門事件・ソ連崩壊・東欧革命でいろいろ激動な時期だったので、政府の求心力をブーストするために、改めて共産党の正当性を叩き込もうとしました。つまり「中国は列強侵略の被害者であり、共産党はこれを解放した功績がある、ゆえに正当」という論理です。この筋書きの中で日本は当然、中国にとって「最大の加害者」という位置づけになります。←これが上記2と相まって、現在にひきずっています。


さて、江沢民は任期満了後も影響力を持ち続けたいです、が、自分の後継者を自分で決められません(a)。そこで、政権内に自分の腹心(上海閥)を残そうと工作します。


c.微妙なバランスの胡錦濤政権


2002年に胡錦濤がリーダーになりますが、政権に上海閥が残っています。彼らは反日容認派で、反日教育を行ってきた手前、2005年に起こった大規模な反日デモを政府として弾圧することができません。でも、デモを放っておくと、世界に不信感を持たれてしまうから、なんとかしたい。そんな微妙なバランスの中、2010年に尖閣諸島沖での漁船衝突事件が起こり、日中間がどんどんこじれていく・・・


d.習近平と軍部と上海閥の残り・・・?


そして2012年に習近平がリーダーになります。どうなる中国??どうなる日本??


最後に、列島線の話。なんで中国は尖閣諸島にこだわるのか?ですが、本書では海底資源よりも、軍事的な意味合いが強いといいます。

中国の第一・第二列島線

 

 

(絵が下手ですいません・・)

日米の防衛ラインが、「第一列島線」=沖縄、フィリピン・・ と、「第二列島線」=小笠原諸島、グアム・・の2本あり、尖閣諸島は第一列島線の上にあるから、ここを取ることは、中国にとって列島線を突破することになるため、軍事的に非常に重要だという。これは沖縄にもかかわる話。大事。

列島線については、下記もどうぞ。

中国包囲網の虚実(2)(田中宇ニュース)・・第一列島線/第二列島線について。アメリカが海兵隊を沖縄からグアムに引き揚げたがっている?という話。

2034年、第三次世界大戦のシナリオ(ハフィントンポスト)・・こちらもアメリカの日本から(=沖縄から)の撤退に言及。



8/30追記:見た感じ、ネット上で日本語の記事が見当たらないのですが、8/23の「米哨戒機に中国軍の戦闘機が以上接近」事件について、中国は「P8が原潜探知のソノブイを投下した(可能性がある)ため」という主張をしています

 

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