「な夕書」というひとつの事件について

高松が誇る長大な商店街をうまく擦り抜けると、きみは「な夕書」にたどり着くのかもしれない。
運が良ければ。


natashoそこにはこんな景色が広がっている。


ぼくは未だかつてこんなにも真摯かつ自堕落な、嗚咽とポップ&キュートが同居するような、魅力的な「場」に出くわしたことが無かった。


入口は普通の民家の様で、よーーく見ると3cm四方くらいの紙にこっそり「Open」と書いてある。入口から、オーナーのやる気の無さ(※1)がひしひしと伝わってくる。Openと書くからには何らかのお店なんだろうけど、店の名前も、どんなサービスを提供しているのかも、全くわからない。全く。ぼくは入口で本当に途方に暮れてしまったけれど、意を決して入ることにした。


“玄関で靴を脱いで”細く急な階段を上がる。上がり切って振り返ると、奥のほうで女性が机に向かい、パソコンをいじっている。声を掛けると、驚いたように振り向く。



「・・ここ、何屋さんですか?」←ほりうち氏の第一声
「古本屋です」←オーナーの第一声
「コーヒーとか出てきます?」この辺に、雰囲気に呑まれてしまったぼくのディスコミュニケーションが見え隠れする。
「サイダーとかならありますけど」飲み物もあるんかい!


という事で適当に本を選び、ジンジャーエールで腰を落ち着けることにした。あ、でもジンジャーエールはカナダドライじゃなくてWilkinsonだ。これはポイント高い。


で、まぁその店の「場」に押されるようにして、オーナーの方と喋って、それが非常に楽しかった。恐らく、ルーマニアで感じた「場」の重力(※2)のようなものが確かにそこにあった。


そこで、9月に高松の商店街で何かが起こるという事と、直島のことをきいた。次の日、彼らは直島へ行く予定があって、ぼくも行きたかったけど、断腸の思いで断った。仕事の予定があったのだ(結局、その仕事も非常にスリリングで(=冷や汗をかいて)面白かったのだけれど)。でも、話を聞く限り、こんなに面白い島に行かない手は無い。


という事で、恐らく9月の半ばに、再び高松に向かい、直島にも渡ります。便乗者募集中よ♪


という事で、もし高松に迷い込む機会があったら、なんとかして「な夕書」を見つけ出すことをお薦めします。かなりの刺激物です。(ちなみに、建物は元連れ込み宿だったらしく、霊感の強い人には様々な情念の渦の白い影が見えるそうな。)


な夕書ウェブサイトはこちらから


訳注
※1 商業的な成功を放棄するという意味でのやる気の無さ。
※2 リンク先「6.「場」の温度」を参照。

This post is also available in: 英語, スペイン語

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。