メキシコ的死生観について補足エピソードを2つばかり

一年くらい前に、メキシコとドイツ(ヨーロッパ)、日本における死生観の違いについて、あんまりキレのないレポートを書いたんですが、これが。Google検索「メキシコ 死生観」で一位独走中なんです。どんだけ需要無いワードなんだ。しかし、毎日1人ぐらい、奇特な方がこのキーワードで当ブログにご来店されますので、メキシコの死生観についての面白いエピソードを2つ、紹介します。どっちからいこうかな。

 
 

1.死体を表に放り出す

左からアンドレ・ブルトン、ディエゴ・リベラ、レオン・トロツキー。1940年、メキシコにて。

シュルレアリスム大王・アンドレ・ブルトンがメキシコに来ていたときの事。とりあえず「飲もうぜ!」となって、メキシコシティの飲み屋に皆で繰り出したんです。亡命中のトロツキーと、ディエゴ”太っちょ”リベラも一緒に居たかもしれない。3人で、コミュニズム万歳って乾杯してたんですよ、きっと。

するとカウンター席のほうで怒号、そしてガラスが割れる音。見ると男たちが本気のケンカを始めてる。「表に出ろゴルァ!」と叫ぶ間もなく、1人が刺されてごろりと、転がりました。え!死んでるじゃん!?大丈夫なの!?

男たちは、きょとんとする。
「おい動かねぇぜ、どうする」
「えーもういいよ、放っといて、飲み直そうぜ」

男たち、「せーの」で死体を表に放り出し、テキーラで乾杯しなおしました。

「Salud(健康を祝して)!」

一部始終を見ていたブルトンは呟く:なんてシュールな国なんだ、メキシコは・・

2.極寒の湖に突き落とす

男前のカルロス・フエンテス。1928年1111日生まれ。残念ながら2012年5月に他界。

男前のミラン・クンデラ。1929年、エイプリルフール生まれ。

フランスのどこか。ある冬の朝、カルロス・フエンテスが、半年ほど年下の盟友ミラン・クンデラと共に、凍てついた湖のほとりを散歩していました。(湖じゃなくて、溜池だったかもしれない)彼らは、「死」の感覚について話していました。お互い、50代後半の、フエンテスとクンデラを想像しています。前者は問題作『アウラ』(1962)で、『ペドロ・パラモ』の系譜の、円環する命/不死を表現しました。生きているのか死んでいるのかわからない、もはや、それはどっちでも良い、的な、生と死が独特に混ざり合った感覚(“魔術的リアリズム”という単語はちょっとチープですけどね)。一方クンデラが『存在の耐えられない軽さ』(1984)で見せるのは、ドラマチックさなんてかけらも無いような唐突で、無遠慮で無思慮で、どこまでもひとりぼっちの死。

フエンテスはそんなクンデラの、もしくはヨーロッパの「死」の感覚がいまいちよくわからなかったようで、クンデラに訊きました。どうして死をそんなに恐ろしく考える必要がある?みんな、いつかどこかの地点で死ぬんだ。死ぬのは明日かもしれないし、実は昨日死んでいるのかもしれない。そしてその2つの可能性は、多分同じ地点にたどり着くんじゃないか?

クンデラは微笑みながら聴いていました。そして微笑みながら、フエンテスを凍てつく湖に突き落とした。

その後フエンテスは、ヨーロッパ的な「死」がいかに唐突で冷たく、救いようがなく孤独かを知覚し、書き綴ることになる・・・

*****

・・って、ずっと昔にリカルド先生が話してくれた、メキシコの死にまつわる2つのエピソードでした。事実かどうかは・・不明。

(以下、余り重要でないメモ)

フエンテスは1965年辺り、パリの大学で教鞭を取っているのと、1975年からフランス大使。一方クンデラは1975年、レンヌ大学の客員教授としてフランス入りしている。どうなんだろう。彼らは40代で出会っていたのかな?

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